現在のように屋根の雨水を排水する役割の雨樋で日本で最古のものは、733年奈良時代に建立された東大寺三日月堂の木製の雨樋と言われています。
雨樋がなければ屋根から流れ落ちる雨水がすべて、建物の外壁を伝い落ちて、少しの隙間やひび割れから浸水して、さらに地上に落ちれば泥水がはね返って建物を汚して劣化の原因になります。
飛鳥時代に中国、朝鮮から瓦が伝来して神社仏閣に使われ始めて、排水という役割だけではなく貴重な建物を守る機能の必要性が考えられていたわけですね。
古くは、雨水を排水する役目より、飲料水や生活用水として貴重な雨水を屋根から水槽に集めるために雨樋のようなものが作られていたようです。
また、草ぶきや茅葺き屋根は、ひさしが長く張り出した形で屋根自体が水分を吸収するため雨樋は必要ではありませんでした。
江戸時代になって住宅が密集してくると幕府は、度重なる大火事から防火のために「瓦ぶき」の家を奨励しました。
瓦葺きの屋根が一般的に普及して、雨水の落下による柱や土台が傷んで腐ってしまうのを防ぐために「雨樋」はなくてはならない存在になりました。
当時は雨樋の材料は木や竹。木製のものは板3枚をU字型に組み合わせたものです。
竹はすぐに想像できますね。
節を抜いて、半分に割って半円形になるので奈良時代の頃から使われていました。
明治時代になると薄い鉄板に錫をメッキした「ブリキ」が使われるようになって、そして始めてのプラスチック製雨樋は昭和32年に登場しました。
現在では「腐食しない」「優れた耐久性」「強度」を追求して、硬質塩化ビニール樹脂の中にスチール芯を一体化するなど新しい素材が開発されています。
災害などの強風、豪雨の被害に負けずより強く、いつまでも美しく、長寿命の「雨樋」が建物の耐久性を向上させます。