2020年7月15日に約2年間の改修工事を終えてグランドオープンした箱根・宮ノ下にある「富士屋ホテル」は文化財に指定される142年の歴史のあるホテルです。
明治11年、箱根のリゾートホテルとして創業。ヘレン・ケラー、アインシュタイン、チャップリンが宿泊したと聞けば、その名前は歴史の中の人たちです。
ティールームにはジョン・レノンが家族と一緒にアップルパイと紅茶を楽しんだテーブル。
その席でアップルパイを楽しむ人たちは創業以来から変わらない美術品のようなホテルの中でタイムスリップしているみたいですね。
ホテルの本館は木造の入母屋造りで建てられ、屋根は桟瓦葺きです。建物正面の唐破風と言われる神社のような曲線の屋根が特徴的です。
関東大震災でもガラス一枚割れなかったという逸話が残っていますが、今回の「平成の大改修」では次の100年に向けて安心・安全のための耐震工事を中心に実施されました。
リフォームによって歴史ある建物がさらに長くこれからの歴史を残していくことができるわけです。
「富士屋ホテル」が今日まで創業当時の姿を残せた理由のひとつに裏方である「営繕さん」と呼ばれるスタッフが常駐していたことがあげられます。
「営繕さん」は日々、建物のメンテナンス、修繕とホテルの様々な要望に応えて作業をしていました。
木工事、左官、溶接、塗装などあらゆる技術で「富士屋ホテル」を支えていたわけです。
「富士屋ホテルの営繕さん 建築の守り人」として書籍になったり、イベントでも紹介されました。